イシイのミートボールは、農へ。子育て応援へ。前編
2023.11.22
イシイのおべんとクン ミートボール。45歳すぎの人には懐かしい言葉です。お茶の間にたくさん流れていた石井食品の人気商品のテレビCMが、ピタッと止まって20数年。一体何が起こったのか。大量生産大量消費の成功トップランナーから、農へ、子育て応援へ、と華麗な変身をして、日本の食文化の意識に大きな影響を与えている、石井食品の無添加調理(※)へのシフトとトレーサビリティと旬の食材のストーリー、前編です。
※石井食品での製造過程においては食品添加物を使用しておりません
TOP写真は、石井食品の石井社長と、訪れた笠間の栗農家の大槻さん。大槻さんは研究熱心。様々な植え方、剪定方法を試しながら、わかった栗の育て方を栗農家の仲間で共有、研鑽しているのだそう。以前は和牛の畜産のお仕事もされていたそうです。目下は小ぶりで絶壁でも抜群に甘くて美味しい「倉方」という栗を有名にしたいとがんばっているところ。風わたる若くすがすがしい栗林でした。2023年8月28日の写真です。
添加物に「おや?」。なくても美味しい。なくても売れた。
人気絶頂のミートボールのテレビCMが突如姿を消す、というのはある種、事件です。じゃあ何かあって売れなくなったからCMを止めたのか、と思うと全くそんなことはなく、商品は一貫して売れ続けていました。添加物の使用をやめ無添加調理へとシフトし、そざいの味をそのまま生かす引き算の考え方から、原材料をシンプルにし、味もどんどん美味しくしていく、というリニューアルにも取り組んでいました。添加物を抜くことに成功すると、全国各地のお取引様そしてお客様が評価してくれました。まとめて仕入れたいという人たちが現れ、増え、テレビCMは自然と少なくなっていきました。ミートボールの無添加調理へのリニューアルとそのテレビCMの減少は、社会の変化を体現していました。
寄せられる声に応えて、無添加調理に。
26年も前の1997年、石井食品はイシイのミートボールから「調味料(アミノ酸等)」を抜きました。
1997年。当時はまだ、加工食品の会社は、お客様から添加物のことを言われると、「クレームだ」と感じ、クレーム処理をする、というのが一般的な流れでした。添加物を入れている会社に電話して聞いてみても、すぐに無添加にはできません、と言われます。その理由として「無添加にするのはいいけど、それまでは入れてたくせに、と言いがかりをつけられるのがいや」「添加物を抜くと加工するのに時間や手間がかかったり賞味期限が短くなったりしてお金がかかるし売り上げも落ちて会社がつぶれてしまう」などなど。たくさんのいいわけをよく聞きました。今でもです。
この石井食品のシフトのすごい点は、リスクも考えながら、お客様の声を大事にし、正面から取り組んで、少しずつ反映させながら、前へ進むところ。企業なのにお客様との一体感があるところ。大量生産大量消費のラインに乗っていたものを、オーガニックに転換するのって、ホントに大変だろうと思います。それをやってのけている石井食品の勇敢さは特筆に値します。
1997年にソースに入っていたアミノ酸等調味料を抜いたことに始まり、2019年には水あめを、2001年にはチキンブイヨンを、2006年はパン粉に入っていたショートニングと脱脂粉乳とイーストフードを、ミートボールに入っていた卵白とコショウを、抜きました。2022年には生姜汁をしょうがペーストに変更し、今年はソースに入っていたトマトペーストを、それまで期間限定だったイタリア「アルチェネロ」社の有機トマトペーストを常時入れることにしました。
寄せられる声に応えて、トレーサビリティ。
添加物を抜き始めた3年後の2000年、「品質保証番号」をパッケージに印字するようになりました。翌年にはホームページでこの品質保証番号と賞味期限を入れると原材料の履歴がわかるようになりました。
この、原材料などの経路が追跡できる情報公開のことを、トレーサビリティーといいます。トレース(追跡)とアビリティ(可能性)をくっつけた造語で、追跡可能性のこと。材料の調達、生産、消費のサプライチェーンの各工程を追跡可能にする企業の情報公開のことです。自然環境に負荷をかける作り方をしていないか、自然環境に負荷をかける原材料を使っていないか、不当な働き方を強いていないか、買う人を騙していないか、がオープンになっているから、私たちは体にいい、環境に優しい商品を選べるようになるのです。これ、とっても大事。
加工食品は子育ての時短になる。だからこその厳選素材。
有機トマトペーストを使用したミートボールやハンバーグのすごいところは、パッと食べられるから、子育てで忙しい人の時短料理にもなるし、家族の健康と生活の質の向上に直結するところ。子どもには安全なものを食べさせたい、できれば食育の一環になるような、国産のものや旬の野菜も食べさせたい、そんな親心をサポートしているところ。子どもの時からずーっと食べ続けても大丈夫なように、その子の将来を親と同じぐらい真剣に考えているところです。
子どもの将来を国連レベルで考える親の気持ちに寄り添って。
これは、子どもの将来の健康を考えているという意味で、国連のSDGsの3番「人々に保険と福祉を(Good Health and Well-Being)」だし、食育と考えれば4番「質の高い教育をみんなに(Quality Education)」もだし、家事を時短したりシェアしたりすることは5番の「ジェンダー平等(Gender Equality)」だし。