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老舗百貨店がエシカルに挑戦。「GREEN AGE(グリーンエイジ)」を見学

老舗百貨店がエシカルに挑戦。「GREEN AGE(グリーンエイジ)」を見学

2023年4月12日に阪急うめだ本店8階に誕生した「GREEN AGE(グリーンエイジ)」に行ってきました。

阪急うめだ本店といえば、関西を代表する一流老舗百貨店。その店がエシカルなライフスタイルという最先端テーマへ挑んだのですから要注目です。


「COMMUNITY PARK(コミュニティパーク)」。「GREEN AGE」の思想を実践し、共感するさまざまなプレイヤーやお客様が集い、つながりを生み出すイベントスペース。

広さ2300平方メートルほどの「GREEN AGE」の売り場は、もともと「イングス」というスポーツファッション売り場でした。「人と自然の共生」をテーマに、「サステナブルな生活をしたい」「お洒落を楽しみながら環境にも配慮したい」という消費者の要望に応えて生まれたゾーンだといいます。

売場再構築を担当した宮本智美さん(GREEN AGE営業統括部コンテンツ開発部ディビジョンマネージャー)に店内をご案内いただきました。

「GREEN AGE」には、アウトドアでのアクティビティを通じて暮らしを高めることを掲げた「グリーンネイバーフッドライフ」 、自然に寄り添いながら、自分自身も持続可能であろうとする「グリーンウェルネスライフ」 という2つのテーマゾーンに、ラグジュアリーブランドからウェルネスやアウトドア、雑貨、コスメまで垣根のないフラットな感覚で共存しているのが画期的な試みです。

目を惹くラグジュアリーブランド

さて、いきなり目を惹いたのが、GUCCI 、PRADA 、MiuMiu 、LOEWE などの「ラグジュアリー・ブランド」が並ぶ一角でした。

意外に思われるかもしれませんが、昨今、LVMHグループや、ケリンググループなど世界に冠たるラグジュアリーブランドが挙ってエシカルへの取り組みを行っているのです。中でもひときわ目立っていたのがLOEWEです。「LOEWE Re Craft(ロエベ リクラフト)」という名のもと、コーナーの半分くらいを工房スペースが占めています。ここでは、レザー製品の補修などのメンテナンスはもちろん、好きなデザインへのリフォームにも応じるということです。2023年時点でこの専門工房を備えた店は、マドリード本店とここだけ。まさに「GREEN AGE」の面目躍如というところでしょう。


工房スペースが目立つ「LOEWE Re Craft」

さて次に、LOEWEに隣接するPRADAを覗いてみると、ブランドアイコンでもあるナイロンが100%再生ナイロンに進化したPRADA Re-Nylonコレクションが目に飛び込んできました。同社はすでに、毛皮製品は作らないという宣言もしています。

一方、フロアのほぼ中央に位置するGUCCIでは、自らが開発した再生可能な植物由来の素材「デメトラ(Demetra)」を用いたバッグ、バイオ由来のプラスチックを使用した「グッチダイヴ」ラインの新作などの品揃え。こちらも親会社のケリンググループとともに、2025年までに原材料のトレーサビリティ100%を目指すと宣言しています。

高品質で優れたデザインや技術の商品を販売するラグジュアリーブランドだからこそ、安易に「購買・廃棄」を繰り返すのではなく、長期的に使い熟(こな)すという、エシカルな消費精神のシンボルでありたいという意欲が伝わってきました。

*トレーサビリティ…原材料の調達先から完成品の納品先まで、商品の生産過程を追跡できること


什器からもエシカルな軽量感が感じられるPRADA

これぞエシカルの真髄・・「助け手」の仕事!

そして、なんといっても「GREEN AGE」 の真骨頂は、「RE CONCIERGE(リコンシェルジュ)」というサービスでしょう。お客様の要望に応じて、モノの循環につながるあらゆるサービスを提供するカウンターです。

アウトドア用品のレンタル、リユース、愛用品の修理やリメイク、不用品の回収やアップサイクルなど、アウトドアギアやファッションアイテムを中心にモノを大切に使い続けるためのサービスを提案しています。これぞエシカルな取り組みであり「助け手」の極みではないでしょうか。「助け手」として中でも特に惹かれたのは、「京都紋付」という“黒染め”サービス。シミや汚れなどで着なくなった服を美しい黒色に染め上げ、もう一度着られるようリユースを提案しています。国内だけで、年間50トン前後の衣類が廃棄されている現状に一石を投じる試みともいえます。


リサイクルやレンタルといった循環型サービスの拠点「RE CONCIERGE」

「売る」店ではなくて、「魅(み)せる」店へ

ほかにもいくつか魅力的でエシカルな「顔」を発見しました。西日本初進出の「b8ta (ベータ)」では、空気から水を作り出すウォーターサーバー「Kara Pure」など、革新的な商品ラインナップが魅力です。


紙管の脚を使ったシンプルな什器が目を惹いたb8ta

そして、もうひとつの「顔」は、英国のファッションデザイナーとして活躍するSTELLA McCARTNEY(ステラ・マッカートニー )による世界初の体験・実験型コンセプトストア「 STELLA’S WORLD by Stella McCartney」です。

廃棄予定だったオーディオスピーカーなどをモチーフにし、ビートルズ愛用「アビー・ロード・スタジオ」の雰囲気を再現したというカフェでは、ヴィーガンスイーツやスムージー、ステラの似顔絵をビーツで描いた「STELLATTE (ステラテ) 」などが楽しめます。

ショップには、ステラ自身のキュレーションにより厳選されたアイテムが並び、来店客は好みのレコードを選んで自由に音楽を聴くことも。買い物の合間にひと息つける絶好のエシカルスペースになりそうです。


廃棄予定だった音響資材やブランドのショーで使用した照明をアップサイクルしたウォール

ステラのプライベートコレクションの椅子を置いたカフェスペース

ステラの似顔絵をラテアートした「STELLATTE (ステラテ)」

最後に、宮本智美さんに、「売り上げの方はいかがですか?」と、いささか不躾な質問をしました。「具体的な金額はお話しできませんが、以前のスポーツ売り場から比べると、ほぼ2倍の売り上げ増です」と教えてくれました。事業としてもかなりの成功といえるでしょう。

「GREEN AGE」畏るべし!そしてエシカルビジネス侮るべからず!と、大いなる確信を持って帰途に着きました。


宮本智美さん。阪急うめだ本店グリーンエイジ営業統括部コンテンツ開発部ディビジョンマネージャー。

店舗情報

住所: 大阪府大阪市北区角田町8番7号

阪急うめだ本店8F

営業時間:連日午前10時〜午後8時

公式サイト:https://website.hankyu-dept.co.jp/honten/h/greenage/

公式Instagram:https://www.instagram.com/hankyu_greenage/

水野 誠一

あうんエシカル百科店 スーパーバイザー
株式会社IMA代表取締役、元西武百貨店社長。西武在任中はLoftを成功に導き、渋谷を「若者文化の発信基地」としてアイデンティティを確立させた。これまで多くの外資系企業・ブランドの日本進出を手掛ける。2001年より一般社団法人Think the Earth理事長として環境問題にも取り組む。
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