大学授業に潜入!エシカル専門家&講談社編集長のここだけ講義
2024.03.08
2024年3月3日(日)に開催された、京都芸術大学講座「熱狂!エシカルビジネス学」。エシカルディレクター・坂口真生氏と、講談社「FRaU(フラウ)」編集長でありSDGs号の旗振り役・関龍彦氏が講師を務める特別講座です。京都芸術大学の社会人向けアートカレッジ「藝術学舎」の一般公開講座として開催されました。
藝術学舎講座シリーズ「熱狂!〇〇学」シリーズについてはこちら
授業は東京・麻布台の特設会場にて開催。高校生から社長まで、全国各地からエシカルに興味を持つ受講生が参加し、「エシカルビジネス」をテーマに集中講義が行われました。
編集部はこの講座に丸一日密着。熱量にあふれた当日の様子をお伝えします!
「エシカル」で食べていくには
まずは、講師が取り組んできたプロジェクトの紹介から。
エシカルディレクターとして活躍する坂口氏は、「スタート当初は、自分をエシカル分野の広告代理店と位置づけ、どんな仕事も受けていた」と語ります。その活動は、ファッション業界から始まり、食・小売・イベントなど、あらゆる分野に広がりました。
坂口氏にとって、エシカルを促進するためのキーワードは「効果的な利他主義」。自分の身体がひとつしかない中で、どのように相手に喜んでもらい、活動に巻き込んでいくかが大切という言葉です。
そのひとつが、J-WAVEのラジオ番組で企画・パーソナリティーを務めたこと。2020年から3年間放送された「ETHICAL WAVE」では、多彩なゲストも招き、リスナーに向けて毎週様々なトピックを発信しました。
取り上げたのは、エシカルをテーマに集められた、国内外の「前向きになれるニュース」。コロナ禍という不安が多い時代の中でも、社会に向けてポジティブな話題を発信し続けることで、リスナーと一緒にエシカルなアクションに取り組んでいけたといいます。
▼テレビ東京の番組「あうんエシカル百科店」にも出演(坂口氏出演回はこちら)
現在は、東京都主催の「TOKYOエシカルアクションプロジェクト」など、企業や行政のエシカル関連事業にも携わる坂口氏。数十のプロジェクトとその実現までの道のり、そしてエシカルディレクターとしてのキャリアについて、受講生は熱心に耳を傾けていました。
▼次々と紹介される各業界の事例に、受講生はメモを走らせます
▼講師から受講生に質問を投げかけるディスカッションパートでは、「エシカル」という言葉の一般的なイメージについてや、どうすれば社会にエシカル活動への”熱狂”を生み出せるかについて、各々の考えを語り合いました。
僕たちの雑誌から、人生を変えた人がいる
「FRaU」編集長の関氏は、FRaU SDGs号ができるまでのエピソードを紹介。
講談社が発行する「FRaU」は、世界初となる”1 冊まるごと”SDGs を特集した女性誌。地球に優しい取り組みの紹介だけでなく、読者が日常生活から取り組めるアクションも盛り込み、身近でトレンド感のある発信が人気を集めています。
女性誌がSDGsを大きく押し出すことについて、当初は不安視する社内意見もあったといいます。それでも「SDGsとはそもそも何か」「なぜFRaUがSDGsに取り組むべきなのか」と社内を説得して回ったという関氏。創刊から5年が経ち、FRaU SDGs号は、2024年1月号で16冊目を迎えました。
また、講座では、雑誌のレイアウトの作り方や、記事テーマの決め方など、ここだけの話も盛り沢山。実際の紙面を見せながら、どのようにして雑誌が作られていくかを紐解きました。
▼会場には、「FRaU」過去号がずらり。各紙を手に取り、講師と受講生が語り合う場面も。
FRaUをきっかけにエシカルな仕事を始めたと、読者からメッセージを貰うこともあるといいます。関氏は「これからも、『読んで終わり』ではなく、行動に繋がるような取り組みをしていきたい」と締めくくりました。
▼ひと休憩のランチタイムには、「亀戸升本」のエコ包装のお弁当。
▼具沢山のお弁当を囲み、フリートークに花を咲かせました。
超実践!エシカルビジネスディスカッション
講座後半は、受講生の活動についてのプレゼンテーション&フィードバックタイム。
実際にエシカルなプロジェクトや事業に取り組む受講生の発表に、講師だけでなく他の受講生からも様々なアイディアやフィードバックが投げかけられました。
それぞれの業界や専門分野からの知見を集めて、これから取り組むべきアクションを考えていきます。
▼ひとつの机を囲み、講師・受講生一丸となって事業をブラッシュアップします。
「どうすればエシカルな商品を社会に広げられるか」「地球環境のための活動を、魅力的に発信するためには」「エシカルビジネスを実現する上での仲間集めの方法とは」など、エシカルビジネス最前線のテーマについて熱い議論が交わされました。
時には、「このプロジェクト、何かご一緒できませんか?」と、コラボレーションの種が生まれる瞬間も。
1000年後には、どんな未来が待っている?
講座の最後には、講師両名から受講生へのメッセージが寄せられました。
関氏「地球に生まれた一員として、『できることをやらなくては』と。たとえば、買い物の際に、自分なりに良いと思うものを手に取るようなことが大事だと思うんです。結局、回りまわって自分に返ってきてくれますから。」
坂口氏「100年、1000年先を想像しながら、社会や事業に向き合ってみてください。この世にいる間にできること、必然的な出会いを大切にしたいですね。」
【講師プロフィール】
●坂口真生(さかぐちまお/GENERATION TIME株式会社 代表取締役)
高校でアメリカへ渡り、大学卒業後ニューヨークにて音楽業界に携わったのち、自社音楽レーベルを設立。 2012年、日本最大の合同展示会「rooms」で日本初となるエシカルをテーマとしたエリアを立ち上げる。 2017年エシカル事業部を設立、ディレクターに就任。 ルミネ、東急百貨店、阪急百貨店など百科店・商業施設にて エシカルキャンペーンを企画プロデュース。 2020年、J-WAVEで新番組「ETHICAL WAVE」放送開始。 2021年、エシカルコンビニ始動。 同年、独立しGENERATION TIME(株)を設立。 2023年、あうんエシカル百科店をローンチ。
●関龍彦(せきたつひこ/講談社 FRaU 編集長 兼 プロデューサー)
早稲田大学第一文学部卒業後、1987年、株式会社講談社入社。『ViVi』『FRaU』の編集者を経て、1997年、日本初のビューティー専門誌『VOCE』創刊のため新雑誌準備室へ。2004年より6年間、同誌編集長。2009年には、VOCEのTV版『BeauTV~VOCE』(テレビ朝日)をスタート。2010年より4年間、『FRaU』編集長。2017年より現職。2018年12月、女性誌としては世界初の”一冊丸ごとSDGs特集号”を刊行し、話題に。以降、十数冊のSDGs特集号刊行ほか、メディアとしてのSDGs発信を続けている。(講談社SDGsサイトより引用)
【関連リンク】
●京都芸術大学「藝術学舎」https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/
●オレンジ・アンド・パートナーズ「熱狂!〇〇学シリーズ」 https://www.orange-p.co.jp/news/4315/
【取材】
●あうんエシカル百科店