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地域の循環を生み出す、滝澤ベニヤのゆるぎない技術

地域の循環を生み出す、滝澤ベニヤのゆるぎない技術

「ペーパーウッド」という製品をご存知でしょうか?

ペーパーウッドは、色のついた再生紙と木材を貼り合わせた美しい木口が特徴の積層合板のこと。
独特のストライプ模様は、どこでカットしても同じように現れ、その温かい表情と質感は唯一無二です。

北海道芦別市で、長年にわたって国産広葉樹の単板(ベニヤ)と合板を製造してきた「滝澤ベニヤ」は、このペーパーウッドを世界で唯一製造し、ペーパーウッドの特徴を活かしたプロダクトを展開し、国内外から多くの注目を集めています。

今回は、国産材の使用や高品質を保つための製造方法への徹底したこだわり、そして活動を通じて地域の循環を育む「滝澤ベニヤ」についてご紹介します。

高品質を支える、巧みな職人技術


木口のストライプは、後加工では得られない独特の表情と質感を持っている。

ペーパーウッドのように積層数の多い合板は、単板の僅かな厚さの違いが最終的には1mm以上の誤差に繋がります。
そのため、単板を機械によって±0.05mmの緻密な精度で剥き出し、その後に熟練の職人が感覚を用いて最終的な調整を行います。


カードホルダー ringo

トレイ mokume

この製造過程において、滝澤ベニヤは高品質を支えるための徹底したこだわりを持っています。
単板は一枚ずつ目視で厳密にチェックし、大きな節などがある場合には、断面に節がでないように埋め木加工を行います。また、単板を貼り合わせる際には「重なりがないか」、「ごみが入っていないか」など、細部まで入念にチェックし、重ねていきます。さらに、合板の表面は職人が一枚ずつ単板の色やグレードを確認しながら選別し、繋ぎ合わせています。

こうした細やかな作業を重ねることによって、美しいプロダクトが生み出されているのです。

国産材を使うことが、自然豊かな森を守ることに繋がる


これまで未利用材として廃棄されていた白樺の木

滝澤ベニヤが国産の木材を使用するのは、日本の自然豊かな森を守るため。
日本は森林国であるにもかかわらず、安価な海外の木材に代わられ、国産材の利用が進んでいません。木は成長に伴ってCO2の吸収が減り、呼吸量が増えるため、一定の時期を迎えると酸素が減少し、CO2の排出量が増加してしまいます。

そのため、温暖化の原因の一つであるCO2を減らすためには、一定の時期を迎えた木を使用し、また新たな木を植えることが必要です。国産の木材を使用することは、環境悪化を防ぐだけでなく、未来に向けて美しい森を守っていく一助となるのです。

暮らしと地域、そして未来を繋ぐ循環型の取り組み


木材の製造・加工と同様に、着実に長く取り組みを続けていきたいという思いを込めて、「SDGs Rotary」と名づけられた

滝澤ベニヤでは、北海道産の木材の価値を高め、持続可能な未来を築くために「SDGs Rotary」という取り組みを行っています。

使用する丸太の約9割が北海道産であり、さらに製品化に必要な接着剤は北海道内で製造された「VOC対象物質14物質」を含まないものを使用し、北海道産100%のものづくりを実現しています。また、職人の手作業による未利用材・間伐材の活用や、製品化するのが難しい端材等は自社工場のバイオマスボイラーの燃料として利用するなど、材料の100%を有効活用しています。ペーパーウッドを製造している工場は再生可能電力で稼働しており、できることを着実に進めています。

これまで「森林と暮らしの間」を繋ぐ役割を果たしてきた滝澤ベニヤ。
時代の変化に合わせて新たな挑戦を続け、森林や暮らし、地域、そして未来を繋ぐ活動を積極的に進める滝澤ベニヤから、今後も目が離せません。

​藤井由香里 Yukari Fujii

京都出身、都内在住。環境問題や日本の文化、ものづくりの背景に興味関心を持つ。 現在は、フリーライター・エディターとして多岐にわたる分野で取材・執筆・編集を行う。
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