yoccatta TOKYO ヨカッタ トーキョー ダブルハンドルトート

安全に対する技術者たちの情熱と、人知れずに廃棄されていくエアバッグ素材に対する想い…。プロダクト（製品）において、そうした"想い"がデザインに重要だと私たちは考えています。yoccattaは、ファッションの知恵や技術、そして経験を駆使し、廃材をアップサイクルします。私たちのプロダクトは、使う人の心に温かい気持ちをもたらすデザインを追求しています。

エアバッグには、軽量で耐熱性や強度に優れた基布「66ナイロン」が使用されています。衝撃吸収のために風船やクッションのような立体型に縫製され、ハンドルやダッシュボードの内側に小さく折りたたまれて収納されています。安全上の理由から再利用できないため、強制的に爆破させて取り出されます。その際に汚れや火薬臭が付着します。これらを洗い落とす作業がファッション素材として利用する際に必要となります。

また、エアバッグは小さく折りたたまれているためにシワが多く、車種によって形や色、大きさが異なります。そのため、個体差のあるエアバッグを手作業で解体し、平面パーツにしてから裁断する必要があります。さらに、表面に破裂防止のためのコーティング剤が塗られているため、染色も容易ではありません。このような困難や非効率性がファッションアイテム製造にとって課題となります。

しかし、私たちの快適な移動と安全を支えるエアバッグは、人目に触れることなく消えてしまいます。そのため、「廃棄エアバッグ」のセカンドストーリーには大きな意義があり、この試みはファッション業界においても未来に向けた一つの実験となります。ファッションのデザインと技術を活かし、廃棄エアバッグを魅力ある商品へとアップサイクルする取り組みが重要です。

yoccatta TOKYOは、創業当初から海外の協力工場での生産を行ってきましたが、私たちは「ファッションの地産地消」を掲げ、全工程を国内で実現しました。これにより、日本の廃材を国外に持ち出すことなく、適量生産を実践し、環境への負担を軽減することができました。洗浄や裁断、縫製などの工程を国内のパートナーファクトリーと綿密に打ち合わせ、品質の向上だけでなく、デザインや機能面もアップデートしました。

日本で走っていた車の廃棄エアバッグを国内でデザインし、国内の技術で縫製して製品にし、そして、日本国内で使用してもらう。これはSDGsとして意義がある取り組みだと考えます。私たちの製品を手に取り、確かな品質を感じていただけたら幸いです。

yoccatta TOKYOのもうひとつの大切な取り組みは、障がい者の就業支援です。廃棄エアバッグは立体形状であり、手作業で解体して平面の生地にする必要があります。この工程は非常に厄介であり、重要な役割を果たします。自動車メーカーからの紹介により、この作業を知的障がい者施設が運営する工場に委託することができました。長年、自動車部品の組み立てを行ってきたこの福祉工場は、安全に作業できるよう様々な工夫が施されています。

国内生産への切り替えに伴い、私たちはこの取り組みを「soleil project（ソレイユ・プロジェクト）」と名付け、活動に加えました。製品を通じて、手作業の丁寧さや温かみが伝われば嬉しいです。

yoccatta エシカルデザイナーの伊藤さんに初めてお会いした際、予定時間を大きく延長して、情熱的に、温かく、ドラマチックに、yoccattaの物語を教えてくれました。

何度も「ファッションとして選んでほしい」とおっしゃっており、ファッションデザイナーとしての矜持を感じました。それと共に、これまでの歩みやこだわりから、商品だけでなく、明るいファッションの未来もデザインしているように思えました。これからもYoccatta TOKYOから目が離せません。

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自動車のエアバッグは旅を続ける